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一緒に帰ろう

S開拓団は端から端まで約15キロ。
学校まで10キロ以上もあったNさんは、1年生の時から親元を離れて寄宿舎生活を送りました。
寄宿舎には男女合わせて60人程いたそうです。
宿題も、お菓子を配るのも、上級生が面倒をみてくれましたが、
寂しい夜には友達のふとんにもぐりこんだそうです。

敗戦後、S開拓団も混乱の中で自決をする人たちがでてきました。
同級生も3人亡くなりました。
Nさん一家も自決を覚悟で集落を出ますが、
中国人の長老が引き止めてくれました。

今、「幸せだなあ」と思う時、ふと、寄宿舎で一緒に過ごした友達の顔が浮かびます。
満州に残してきた友達。満州の土となって眠る同級生たち。
今年の5月、戦後になって初めて旧満州の開拓団跡地を訪れました。
「一緒に帰ろう。連れて帰るんだ」という思いでした。

訪中を終え、やっと自分の戦後も終わるんだなあと思ったそうですが、
これで終わってはいけないと、語り部を始めてくださいました。
「語りたくても語れない人もいるんだよ」と
奥さまが背中を押してくれるそうです。



by kinen330 | 2017-10-30 18:29

満蒙開拓平和記念館の非公式ブログ。記念館にまつわるよもやま話を綴ります。


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