祖父の人生

「大好きな祖父に最高の敬意と、皆の愛情と、この作品を捧げます。」

原稿用紙に印字されたもののコピーの束が記念館に寄せられました。
400字詰め原稿用紙40枚の大作。
お祖父さんが書き残した体験談をお孫さんが活字にしたものです。
表書きに上記の文がしたためてありました。

お祖父さんは明治40年生まれ。昭和5年に九州から「朝鮮」へ奥さまと二人移住します。
当時、日本の植民地であった「朝鮮」にも現地の開発などの目的で移住が奨励されていたようで、
お祖父さんたちの集団は九州のほか東北地方から計50家族が渡って行ったとのこと。
「大正中・末期、昭和のはじめにかけて国内的に移住熱が盛んな時期であり
 浮かれたと云うことでもなかったが、覚悟あって移住してきたものの
 日本内地での話とは誤差があった」 とあります。

知人の紹介があって昭和7年3月末、「満州国」建国直後の新京(現長春)に移住。
官吏を経て民間企業に移り錦州(現錦州市)へ、昭和19年に帰国して終戦を迎えました。

昭和5年から20年の激動の時代に、日本・朝鮮・満州を渡り歩いたお祖父さん。
平成8年、亡くなる少し前にこの記録文を書いたそうです。
自分が生きた証を――。

活字にしながらお孫さんは、お祖父さんの人生を共に生きたのでしょう。
そして、尊敬の念を抱いたのでしょう。
いいえ、それより前に大好きなおじいちゃんだったのでしょう。

祖父から孫へ、時を越えて伝えられた一人の人生が、生きた証が、
ここ記念館へ届きました。
天国でさぞ驚かれていることでしょう。

残してくだってありがとうございました。
伝えてくださってありがとうございました。
[PR]
by kinen330 | 2015-03-06 19:34