穴倉生活

「恥ずかしくって話しなんかできなかったですよ」

86歳の元開拓団Kさん。
先日、初めて地元で「語り部」講演をされました。
地元で一般の人を相手に話すことは今までありませんでした。

「穴倉生活したんですから」

Kさんの開拓団は約3週間の逃避行の末、ソ連軍につかまり武装解除。
その後、地獄の収容所生活が始まります。
マイナス30度になる満州。
Kさんたちは土が凍結しないうちに穴倉を掘って、その中で越冬します。
地上よりはましでした。
穴倉の中でも、布団代わりのうすっぺらいムシロが
朝には真っ白に凍っていました。

こんな話しは、自分から話すことではなかったとおっしゃいます。
話せば余計にみじめになります。
満州へ行ったことまで、すべて。

12月の足音が聞こえてきました。

あの時、人々は「生きるか」「死ぬか」の究極の選択を迫られていました。
酷寒の満州の冬。
穴倉の中、煤だらけの顔に充血した真っ赤な目を凝らし、
K少年は何を見てきたのか。
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by kinen330 | 2015-11-27 19:17