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真実を知ること

「真実をきちんと知ることで、心の整理がつきました。」

お父さんはシベリアで、お母さんと妹は開拓団で亡くなったという74歳の女性Uさんが来館されました。
ご本人は満州の開拓団から一旦日本へ帰っていた時に終戦になったとのことでした。
家族を亡くしたUさん。戦後は祖父母、叔父一家に育てられ看護師の道へ。
今日は看護学校時代の同級生ら女性4人での来館でした。

お名前から所属していた開拓団が分かり、いろいろな資料を広げてご覧いただいていたのですが、名簿に載っていた名前の下の方に「自決」の文字。
私は一瞬胸が痛くなりました。真実が明らかになることは決していいことばかりではない・・・と。
でもUさんは、お母さん達が自決したことは聞いていたと静かに話されました。

その開拓団では、8月末にソ連兵がやってきて武装解除し幹部の男達が連行されます。「これと前後して付近に集結していた中国人暴徒や付近の住民ら数千人が、鎌・こん棒などをもって襲いかかり」ます(『長野県満洲開拓史各団編』より)。一部の集落の人々は“現地玉砕”を主張し、130人の婦女子が集団自決に至りました。Uさんのお母さん達もここにいたのです。
想像を絶する恐怖と絶望に襲われた人々のその選択に、現在に生きる私達は何を言う資格があるでしょうか。家族を失った人々の悲しみと、集団自決に加担した人の戦後の苦悩を、ただ受けとめること。そして、そのような状況に追い込まれるようなことが二度とないような社会を築く努力をしていくしかありません。

取り囲むお仲間の方が涙を流しておられました。
Uさんからこのような生い立ちを聞いたのはほんの2年前で、学生時代は何も知らず、ぶどう園をしていたUさんのお家に遊びに行っていたそうです。

Uさんは「真実をきちんと知ることで、心の整理がつきました」と言い、お仲間と一緒に清々しい笑顔で帰っていかれました。
知る覚悟で来られたのだと、思いました。
どんなに長い時間だったろうと、思いました。
by kinen330 | 2016-04-29 19:38

満蒙開拓平和記念館の非公式ブログ。記念館にまつわるよもやま話を綴ります。


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