何より大切なこと

「何より大切なことを話してくれたと思います。」

語り部のCさんに直接お礼を言いたくてとお電話をいただきました。

Cさんのお話しは体験談以外に時として難しい歴史の話になります。
満州事変から始まりノモンハン事件へ。関東軍の参謀たちの名前が次々出てきます。
「満州国」建国、開拓団送出に関わる人々の思惑。試験移民が入植した土地は現地の人々をわずかなお金で立ち退かしたという実態。敗戦直前の関東軍の兵力や作戦…。

昨日のCさんの話はほぼこのような内容で終始してしまいました。

「もっと体験談を話してほしかった」との声。
時折心配して聴きに来るCさんの娘さんも「みんな満州での大変だった話を聴きたいんだよ」と助言しているとのこと。
実は昨日は私も「半分は体験談を話してください、Cさんしか話せない話を」とお願いしておりました。

聴講者にウケる話をする必要はないと思っています。
話したいことを話してほしい。そう思います。
でも、体験者しか話せない話があり、それを直接聴くことで人々はその言葉の重さや、今でも苦悩するご本人の姿に戦争とは何か、人間とは何かを考えさせられるのだと思います。

では、Cさんが話したいこととは。
Cさんは昭和10年生まれ。5歳の時に渡満し10歳で終戦。地獄を見てきました。引き揚げ後も辛酸をなめます。自分が選択した満州ではなかったのに。
戦後、満蒙開拓とは何だったのかを懸命に問い続け、あらゆる本や資料を読みあさります。
そして今、噛みしめるように話されます。「国策だとか関東軍に捨てられたなどというが、やはり自分の責任だと思います」「私たち開拓団は被害者であり加害者だった」と。
この言葉を語るまでにどれだけの逡巡、葛藤があったでしょうか。

Cさんが語りたいことは、被害だけではない、なぜこのようなことになったのか。
“なぜ”というところなのです。
そしてそれは「何より大切なこと」なのかもしれません。
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by kinen330 | 2016-06-18 18:15

満蒙開拓平和記念館の非公式ブログ。記念館にまつわるよもやま話を綴ります。


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