残しておきたかったこと

「今日は中国人の偉大さを証言しに来た」

昭和4年生まれのKさん。息子さんが車椅子を押し、奥様もご一緒でした。
受付でまずこの言葉。何やら意を決した様子です。

新京(現長春)の師範学校に入学。
当時、増加する満州移民に対応するため現地の教師を現地で養成する学校も作られました。
Kさんの村には、この師範学校への入学者の割り当てが3人あったそうです。

結局、敗戦後は昭和21年6月の引揚げまで撫順炭鉱で働きます。
この炭鉱である日、落盤事故がありました。
その時、仲間のマツダ君を助けてくれたのが、中国人の「ラオシーズ」でした。
「ラオシーズ」のラオは「老」。年配の人への敬称です。
血だらけで生き埋めになっていたマツダ君を引きずり出してくれました。
「ラオシーズがいなかったら、命はなかった。」

Kさんは、満州での体験を思い出すのがつらくてずっと記念館に来れなかったのだそうです。
でも、今日、来てくれました。
そして、どうしても言っておきたかったことは、自分の苦労話ではなく
「中国人の偉大さ」だったのです。

帰り際に「よく来てくださいましたね」と声をかけたら
「やれやれだ」と穏やかな顔をされていました。
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by kinen330 | 2016-07-30 18:49