お姉ちゃんの涙

泣いて、泣いて、泣いて、
声をあげて泣いて、
「義姉さん、苦労したんだね」
ただ泣いて、泣いて、泣いて、
「よく弟連れて2人で帰って来たね」
ずっと泣いて、泣いて、泣いて、
「写真を見たら一気に思い出しちゃったんだね」
立ち上がれないほど泣いて、泣いて、泣いて、

Sさんの涙は70年分の涙たっだのかもしれません。
一家9人で渡った満州で、父親とはぐれ、母親と兄、弟は亡くなり、
姉はさらわれ、妹2人は残留孤児となり、
12歳にして一つ違いの弟と2人で引揚げてきました。
弟と別々に親戚に引き取られ、しばらくして帰ってきた父親と
その後は標高の高い荒地に再入植。

Sさんはずっと泣かなかったのかもしれません。
どれほどのものを心の奥に沈めて生きてきたのでしょう。

両脇をかかえられ、車椅子に乗せられ、
ゆがんだ泣き顔のまま、温かいご家族、ご親族に囲まれて、
それでもまだ泣きながら、記念館を後にされました。

たんぽぽの花はお姉ちゃんの涙も見ていた。
あの涙を私たちは決して忘れない。



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by kinen330 | 2017-06-18 18:51