マータイさえも

Mさんの開拓団もソ連侵攻とともに悲惨な状況になる。
まず松花江の警備にあたっていた満州国軍が反乱を起こし攻撃をしてくる。
本部に集結した日本人をソ連軍が取り囲み、進入。
肩にはマンドリン(自動小銃)。
ちょっとでも命令に背くと容赦なく撃たれた。
そして、中国人の襲撃。
団長は連行され、リーダーを失った開拓団は大混乱に陥る。
すべてのものを奪い尽くされた末に辿り着いた収容所では
極寒の冬が待ち受けていた。
マータイ(麻袋)に穴をあけ身にまとう有様だ。

「隣りで死んでいく人を待つんです」

死んだ人からも衣服をはぎとり自分の物にする。
マータイさえも。

収容所で亡くなった父親は、亡くなる3日前に
わずかに残っている力を振り絞ってMさんを中国人に預けに行った。
10歳の少年はひとり生きて、引き揚げて来た。



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by kinen330 | 2018-07-29 17:47