元教師の悔い
2021年 05月 15日
長野県にも中国帰国者家族が70年代の終わり頃から帰ってきて
地域社会に加わりました。
両親や祖父母が残留孤児、残留婦人だったという子供たちを受け入れた学校では、
日本語教室を設け、「あいうえお」から勉強しました。
親たちよりも子供たちの方が早く日本語を覚えたという話はよくあります。
「とにかく早く日本語を覚えさせることに必死で、
彼らのアイデンティティに寄り添えなかった。」
元教師のIさんが、先日来館され、帰り際にしみじみとおっしゃっていました。
Iさんのような先生方が、言葉や習慣の違う異国で戸惑う彼らを
励まし、支えてきたのだと思います。
彼らは一日も早く「本当の日本人」になるために努力しました。
その一方で、失うもの、否定されたものも多かったのだと思います。
今、振り返って自分を責めるIさんの深くて苦い教育者としての悔い。
退職されても学び、向き合い続けるIさんだからこそたどり着いた境地なのだと思いました。
by kinen330
| 2021-05-15 18:42