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お孫さんからのハガキ

メモ程度の業務日誌をつけています。
今年2月13日に「岐阜県Y開拓団のおじいちゃん家族来館。名簿を見てぽろぽろ涙する」とつけていました。

今日、そのとき一緒に来たお孫さんからハガキが届きました。
おじいちゃんは6月某日に永眠。享年87歳。
記念館に行ったことをとても喜んでいました、と。

おじいちゃんは昨年の夏に癌と診断され、
2月に家族4世代、記念館を訪ねる1泊旅行を計画し来てくれました。

11歳で渡満し17歳で引揚げ。
少年から青年へ。おじいちゃんの青春時代は満州にありました。
ソ連侵攻後は「団員一同自決を覚悟」と本にあります。
死線を越える壮絶な体験をされたのでしょう。

ぽろぽろ涙するおじいちゃんを、家族が見守っていました。
満州で生きた証が、名簿に刻まれていたのでしょう。
このお孫さんも「自分のルーツを探すことができてよかった」と。
おじいちゃんの命がつながって自分や家族があるのです。

「追伸 多くの方がこの場所で自分を見つけることができますように。」
ハガキの最後にこうありました。

こんなお手紙を書いてくれるお孫さんを持って
おじいちゃんは幸せだったと思います。
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by kinen330 | 2016-08-31 18:32

父として

「この子を一度も抱けなかったから」

おじさんが青少年義勇軍で渡満したという女性が来館されました。

3年間の訓練を終えた後、義勇隊開拓団へ移行し、結婚して奥様を迎えます。
娘さんが生まれましたが、その時にはすでに召集されて団を離れていました。
その後のソ連侵攻で、残されていた婦女子たちは逃避行。
途中で幼い娘さんは亡くなりました。

おじさんは2年前に90歳で亡くなりました。
亡くなる前に、その娘さんの位牌を一緒に棺に入れてほしい、
自分の胸の上に置いてほしい、と頼んだそうです。
「この子を一度も抱けなかったから」と。

開拓団に妻子を残して召集された男たち。
その後の悲劇を聞いて、どんなに無念だったことでしょう。
自分を責めたことでしょう。

長い人生を終え、
一度も抱くことができなかった娘さんと一緒に
おじさんは旅立っていきました。
愛おしい我が子のぬくもりを抱きしめながら。
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by kinen330 | 2016-08-27 18:33

戦争の悲しみ

「戦争の悲しみを知っていれば繰り返さないと思う。」

今日は記念館の子ども平和学習会でした。
真っ黒に日焼けした男の子3人が参加してくれました。
大きなお重のようなお弁当を持たせてもらっていました。

難しい満蒙開拓の歴史に、しっかりと向き合いました。
自分だったら、と一生懸命考えました。

最後に5年生の男の子が言いました。
「戦争の悲しみを知っていれば繰り返さないと思う。」

「戦争の悲しみ」をこれまでどれだけの人々が味わい、抱えてきたでしょう。
それでも繰り返されるのはなぜでしょう。
始まってしまい、止められないのはなぜでしょう。

繰り返さないための叡智が私たちに問われています。
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by kinen330 | 2016-08-14 18:08

71年目の夏

長野県でこのような仕事をしていますが、私は広島県の出身です。
この地に来て初めて「満蒙開拓」の歴史を知り、広島県からも多くの開拓団、義勇軍が送出されていたことを知りました。

今日はその広島からナント日帰りでMさんが来館されました。
御年80歳。新聞記者だったMさんですが、退職後は趣味でビデオ作品の制作を手掛けています。趣味といっても内容は重厚なものばかり。今、手がけているのが広島県の山間地、A村が送出した開拓団の歴史です。

たまたま友人の親戚がこの開拓団で亡くなっていました。女・子どもなのに死因が「戦死」となっていることに疑問を持ったことから、調べ始めたそうです。
この開拓団は5つの村が送り出した集合開拓団で、A村では295人が渡満しました。
しかし敗戦後、何百人、何千人という現地人に包囲される事態となります。
「生きて虜囚の辱めを受けず・・・」
一つの集落20人が集団自決に至りました。それは学校の先生が日本刀で一人ひとり刺し殺すというものでした。ほかに死ぬ術がありませんでした。
そのほかの集落でも襲撃や逃避行、収容所生活の中で大勢犠牲になりました。帰還できたのは105人でした。
A村開拓団の記録はほとんど残っていないそうです。語られてこなかった歴史でした。

「風化しつつある歴史を何とか記録に残しておきたい。いつか誰かの役に立てば。」
Mさんの熱意に、当時はまだ子供だった元開拓団の方々数人が取材に応えてくださっているそうです。

何のための犠牲だったのか。
今だからこそ語れること、そこから見えてくるものもあります。
戦後71年目の夏に、この歴史に向き合おうとしている人がいます。
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by kinen330 | 2016-08-05 19:22

満蒙開拓平和記念館の非公式ブログ。記念館にまつわるよもやま話を綴ります。


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