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尊厳の回復

「私たちはずっと、自分の運命が悪いので苦労したのだと思ってきましたが、
 決してそうではない。
 国の政策に翻弄されたのだということがわかりました。
 そして、世界の平和を守ることがどんなに大切かを改めて深く思いました。」

12歳で中国人に預けられ57歳で帰国するまでの46年間を中国で生きてきたOさん。
2度身売りされて下女のように働かされ、
文化大革命期には毎日のように吊るし上げられました。
ようやく祖国日本に帰国しましたが国籍が抹消されており、
4年間裁判をしてようやく取り戻します。
その間は外国人登録証を持ち歩かなければならなかったそうです。

残留孤児訴訟の原告で闘った時、「弁護士の先生たちが日本国憲法や、
自分たちがどうして孤児になったのかなどを教えてくれた」そうです。
あの裁判は国の責任を問うものであり、
中国帰国者という存在を社会に知らしめる意味がありましたが、
それをきっかけにした当人たちの学びは、尊厳の回復につながったのだと思います。
自分をみじめな存在のままとせず、自ら立ち上がる大きな意義があったのです。

かつて、ドイツも周辺国を占領し多くのドイツ人が移民していきました。
しかし、敗戦とともに引揚げてこなければならなかった人々は
満州移民と同じような苦労があったそうです。
ドイツには引揚げて来た女性たちの会があり、
今でも語り合い、歴史を学び合い、
時には講師を招いて講演会などを開いているといいます。
そして、そのような活動に国が助成金を出しています。
日本の引揚者たちは、女性たちは、そのような語る場も学ぶ場もないまま、
苦労を個人の責任として抱えたまま生きてきたのではないでしょうか。

記念館に来た帰国者2世、3世が歴史背景を学び、
尊厳を取り戻すという姿を見てきました。
学びの大切さを思います。






by kinen330 | 2017-12-16 17:37

蟻の穴

入植図のコーナーでは
「こんな国境近くで肩組んでバリアはっとったら敵も責めにくいわねぇ」
青少年義勇軍のコーナーでは
「手なづけられとったんやね、心も体も、みな純真やから」
居留民現地定着方針のところでは
「どうやって生きていけゆうのー、恨まれてるところで」

お孫さんがいるとは思えない若々しい女性。
昭和8年生まれのお母さんを連れて来館されました。
メモをとりながら展示の文章を一生懸命読んでくれます。
難しい言葉は自分の言葉に置き換えながら、本質を理解しようと努めます。
帰ったら、息子やお嫁さんや孫たちに伝えなければならないからだそうです。
「蟻の穴も一つ、二つ、三つって増えたら決壊するのよ」
まずは自分の家族や友人たちから。

「知らんかったわー」と頭の中は飽和状態。
「忘れないように・・・」とぶつぶつ復習しながら帰っていきました。
そうです。帰ったら伝えなければならないので。
「あの人、こういうの好きだから」
いつも付き合わされているお母さんは半分あきらめ顔で笑っていました。



by kinen330 | 2017-12-06 19:22

満蒙開拓平和記念館の非公式ブログ。記念館にまつわるよもやま話を綴ります。


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